●中学入試:獨協埼玉中学校が「入試要項」のあらましを公表他
 埼玉県越谷市にある獨協埼玉高校は来年度より中学校を開設しますが、このほど入試要項のあらましが明らかになりました。それによると、募集定員は男女160名。入試回数は、1月中に2回(1/14、1/24)と2月に1回(2/4)の計3回で、すべて2科4科選択入試を行うとするものです。ちなみに、その配点は、算国各100点(50分ずつ)、理社各70点(35分ずつ)となっています。また、中学校を開設することでそのコンセプトも発表されており、次の2点が掲げられています。@中学の3年間は実験や体験学習を柱として、じっくりと物事を考えさせる教育によって深い思考力を養い、高校の3年間は習熟度別少人数授業を取り入れるなど、他大受験・獨協大学・獨協医科大への推薦等、様々な進路希望に対応できる学習指導を行います。A語学教育を特に重視し、ネイティブと日本人教員との密接な連携による総合的な英語力を育成し、一方、国語ではディベートや小論文指導による表現能力の開発を目指します。また理数教育に実績のある学園としての伝統を生かし、付け焼き刃ではない真に理科好き数学好きの子どもを育てます。

 ここ数年、埼玉、千葉県内では中学校開設が急ピッチで進んでおり、それがおしなべて好結果につながってきていることは周知のとおりです。97年度には開智、埼玉平成、99年度には芝浦工大柏、2000年度には立教新座、専修大松戸、星野学園、埼玉栄と続いており、そのうちの半数以上は1000名規模の受験となるという活況ぶりです。また、芝浦工大柏、専修大松戸は常磐線沿線で茨城からの受験も多く、かつまた千葉埼玉の県境に近く、東京を含めた1都3県からの受験者を集めること可能な立地でしたが、獨協埼玉も比較的それに近い地理的条件を備えています。さらには、芝浦工大、専修大、立教大という附属系列の学校が中学校を立ち上げるという点でも、ここ数年の例と共通項をもっています。しかしながら、それらの学校はいずれも事実上の「進学校化宣言」を行うことにより受験生サイドの支持を得てきました。最大のポイントはそのあたりがどうなるかという点にあります。

 そこで注目されるのが同校の「コンセプト」であります。その@は中高接続構想のラフと考えてもよいと思いますが、中高を「3-3制」とし、中学校では思考力を養うとされており、裏返すと「先取りカリキュラム」は行わないととることも可能です。一方、高校は習熟度別授業の実施に踏み切るなど、これまでのスタイルを一変させる改革ともいえるものです。しかしながら、中高一貫生をその習熟度別のスタイルの中に取り込んでしまうものだとすれば、構想として不完全であるとの指摘は免れません。しかしながら、現時点でのラフは今後各方面からの意見聴取によって揉まれ変更になる場合も多く、その過程でコンセプトがより明確なものになってゆくように思われます。

 一方、獨協埼玉の中学校開設が新たな受験生の掘り起こしにつながることはまちがいありません。特に埼玉県では中学校の開設が受験率の上昇につながっているのはデータの示すところであります。今春プラスに転じた首都圏の中学受験生数がどうなるかについてのひとつの要因として着目すべきでありましょう。

 さて、その他の学校の入試要項変更情報としてお知らせしておかなくてはならないのは、大妻中野の3回目新設です。 この3回目は2/4に実施し、2科4科選択入試を行うとのことです。この入試の実施のために、1回目2回目の募集定員を 減員させることになりますから、その分入試は難しくなると考えておくべきです。また、この3回目入試が奏効すると、その 次から2科4科選択入試の規模を拡大させていく可能性もあります。
●高校入試:埼玉平成高等学校が一貫体制をさらに強化
 1997年度に中学校を開設した埼玉平成は、その中学第一 期生を高校に接続させるにあたり、埼玉平成中学と埼玉高校を姉妹法人に移籍させ、校名も埼玉平成高校とし、学校改革の新ス テージへと踏み出しました。旧来の法人名は「学校法人山口学園」で新法人は「山口学院」。学校法人山口学院はこれまで専門 学校の運営母体でありましたが、そこに埼玉平成中学校高等学校を移籍させることにより、埼玉高等学校を廃止し埼玉平成とし て校名を統合することが可能になりました。

 このような複雑な手続きを要したのは、同中学校が「埼玉中学校」ではなく「埼玉平成中学校」としてスタートを切っ たことに源があります。その当初は、一貫教育を全うさせるべく、将来は埼玉平成中高と埼玉高校の二本立てでいくというよう なビジョンもありましたが、その後教育行政とのさまざまなやりとりの中で現実的な方法を探り続け、最終的には初志を貫くか たちで学校改革の第二ステップに踏み出したということになります。中学と高校の校名や組織の問題は、埼玉県内に近年開設し た中学校に見られる問題です。先行例としては開智中と埼玉第一高の問題があり、これも学校をつくりかえてしまおうという意 気込みが全面に出た改革でした。今後に出てくる事例としては、星野学園中と星野女子高、川越東高の問題があり、組織上どの ような手法を用いて再編を行っていくのか注目されるところです。いずれにしても、学校を徐々に変えていこうとするのではな く、一挙につくりかえてしまおうというこうした「アラワザ」が近年では埼玉県私学にのみ見られるということは、私学史的に も興味深いといえましょう。
●高校入試:「共学化」が受験生集めの切り札に?
 少子化に長引く不況が追い討ちをかけ、私立高校入試は全体として受験生 減少を余儀なくされていますが、その厳しい局面の打開策として次々と「共学」への切り替えが行われています。そしてそれが、 短期的にではあっても一定の効果をもたらしていることは否定できません。今春の首都圏の高校一般入試で受験生を増やした学 校のベスト10は以下の通り。
順位 学校名 増加数 所在地 要因
杉並学院 1,475 東京 共学化
湘南学院 1,218 神奈川 共学化
千葉学芸 1,155 千葉 共学化
春日部共栄 716 埼玉
成田 641 千葉 入試日変更
敬愛大八日市場 624 千葉 共学化
国際学院 472 埼玉
正則 468 東京 共学化
東洋 378 東京
10 中央学院 354 東京
 以上のように「ベスト10」のうち半数が共学化の実施校でした。 しかもベスト3を独占。東洋も次年度から共学化の予定で、まさに「特効薬」のような効き目が現れてもいます。表に は、埼玉県内の私学が2校しか入っていませんが、これは各校とも入試そのものを「一般」から「推薦」へとシフトし ているためで、「B推薦」は事実上の一般入試だととらえると見方も変わってきます。が、現在の制度では、推薦入試 が増えれば一般で減るというのが全体的な傾向でもあります。その中にあって、春日部共栄は推薦入試でも500名増加し ており、一般と合わせると1,216名の増加となり、今春の入試では特筆すべきものとなりました。ついでながら、一般入 試、推薦入試ともに大幅に受験生を増やしたのは、この春日部共栄と杉並学院の2校だけ。杉並学院は共学化人気のみ ならずこれまでの学校改革との総合評価がなされたことは想像に難くありませんが、春日部共栄も
学校改革の現れ。特に、職員の熱意が受験生を引きつけたように思えます。「共学化」は窓口の拡大策ではなく、 長期的な学校改革ビジョンのひとつの一部であるという位置づけが求められているのです。
●大学入試:センター試験、12月と1月の全2回実施へ
 「やり直しのきく入試制度」の構築などを課題として検討してきた 大学審議会は、センター試験の複数回実施を柱とする中間報告を発表しました。センター試験複数回実施論はこれまでも 議論の俎上にのぼってきてはいましたが、現在の学校制度の上では制約も多く、なかなか踏み切れずにきたというのが実 情です。たとえば、夏と春の2回実施案もこれまで協議されたことがありましたが、高校の教育課程を高3の夏までに圧 縮することの非合理性を指摘する声の前に譲歩を余儀なくされてきたのです。そして、一応の決着を見たのが今回の報告 でありました。これは、確かに「複数回実施」といえないこともありませんが、「やり直しのきく入試制度」とはお世辞 にもいうことはできないでしょう。せいぜい「間口の拡大」程度の意味しかないことは明らかです。現実的には、センタ ー試験が1ヶ月前倒しされて12月になる。そのことによって受験生の準備期間は短縮されてより大きな負荷がかかること になります。12月に受けずに1月にまわればいいではないかとという声も出そうですが、チャンスはできるかぎり多く利 用したいと言うのが受験生の人情。おそらくは、2回受けたうちの良い方が利用できることになるはずですから、ほとん どが2度受験するのはまちがいありません。そして、この制度によって現実的な恩恵を受けるのは、1回目に体調不良か 何かで実力を発揮できずに終わった受験生のみで、そもそも実力不足の受験生はほぼ救済されないと見るべきでしょう。 結局「やり直し」をするためには、さらに1年近く勉強を続けなければならないのです。

 問題は、その程度の利点しかないものを関係諸団体(全国高校長協会や国立大学協会など)からの批判を封じ込 めてまで、なぜ実施しなければならないかという点に尽きるように思います。日本の大学入試制度が抱える問題の根本は いったい何であるのか。浪人生が発生することが問題なのか。それとも今の選抜制の中では大学教育にふさわしくない受 験生が合格になり、ふさわしい受験生が不合格になっているといえるのか。少なくともそういうことは表面的にはないと いってよいでしょう。もしあるとすれば、それは多くの大学生がその授業についていけていないという学力問題なのです 。しかし、中間報告はめざすべき大学像として、大卒者たるにふさわしい学生を養成するよう求めているのです。そこに は大きな乖離があります。もし、受験生のほとんどすべてが大学教育を受けるに足る学力を身につけていながら、その半 数ぐらいしか大学に進学することができないという実態があったとすれば、大学の入試制度改革も必要でありましょう。 しかし、現実はその逆です。ほとんどの学生が大学教育についていけていないということを考えれば、入試制度をいじる ことに何のメリットもありません。大学審議会がいうべきは、高校生の学力向上に向けた提言と、大学教育への不適格者 をもっと厳しく見きわめられるような入試を行うよう各大学に求めることではないでしょうか。
●バージョンアップした「夏」――夏期講習のご案内
 博文トップマンツーマンの開講により講習がバージョンアップいたしました。従来とは異なり、集団一斉指導での受講とトップマンツーマンでの完全個人指導が併用できるようなスケジュールといたしており、目的に応じてご利用いただけるようになっております。また、その場合の受講料も設定し「個人指導」としては破格の価格で受講できるようにもいたしました。さらにメインコースを14項目も設定し、幅広くご利用いただけるようになっています。ここで一挙に苦手を克服してしまおうだとか、積み残しの単元を集中的に学習しようとかお考えの方は絶好のチャンス。何しろ長い夏休み。その膨大な時間を上手に利用して充実した夏休みにしていただきたいと思います。